【登場人物】
甲太郎 大剣使いの新米ハンター
伊織 狩猟笛メインのベテランハンター
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「いってらっしゃいませニャ、旦ニャ様」

ルームサービスネコに見送られたぼくは、先輩ハンターでポッケ村在住の相棒伊織さんと合流し夜の古代林へ向かった。

「今日の古代林は環境が不安定みたいですね」

狩猟笛を担いだ伊織さんは女性的な風貌と優しい声音を兼ね備えていて、まるで聖母のような印象を周囲に与える。ぼくにとっては自慢の相棒で、むしろ何故伊織さんがぼくを相棒に選んでくれたのか不思議でならない。

「聞いていますか、甲ちゃん?」

「えっ?……うわあっ」

物思いに耽っていたぼくは伊織さんに話しかけられて焦り、勢い余ってリモセトスの足に衝突してしまった。餌を食べていたリモセトスが驚いて古代木の実を落とし、そのまま怒り出したものだからぼくは尻尾を巻いて慌てて逃げる。

「ごごごごめんなさぁーい!」

「ふふふ、甲ちゃんは面白いですねぇ」

こんな感じでぼくはいつも、大好きな伊織さんに迷惑をかけていた。



「特産ゼンマイ、集め終わりましたー」

アイテムポーチにぎゅうぎゅう特産ゼンマイを詰め込み、伊織さんのもとへ駆けつける。伊織さんはサブターゲットであるジャギィを狩猟していて、そちらも順調に片付いたようだ。

「早く納品して帰りましょう!」

「まあまあ甲ちゃん、そんなに急がなくても、特産ゼンマイは飛んで消えたりはしませんよ」

大きくて硬いキノコの上に腰を下ろした伊織さんが、狩猟笛を傍らに置きにこやかに笑ってぼくを手招きする。誘われるまま隣に座ると、伊織さんがぼくの肩にしなやかな両腕を絡めてきた。

「はわわっ、伊織さん!?」

「フィールドでしか二人きりになれないんですから、時間いっぱい楽しんで帰りましょう?」

妖しい微笑と共に、甘い吐息がぼくの唇に吹きかけられる。蠱惑的な眼差しはぼくの心を絡め取り、身体ごととろとろに溶かしていった。

唇が触れそうで触れない距離を保ち、伊織さんが器用にぼくの背中から大剣を外していく。堪らずぼくが舌を出すと、伊織さんはクスクス笑って軽く舌先をしゃぶってくれた。

「ふふ、甲ちゃんは素直でかわいいですね」

「伊織さん……」

「どこをどうして欲しいですか?甲ちゃんがして欲しい事なら、なんでもしてあげますよ」

白く細い指が、焦らすようにぼくの太腿を撫でる。急所を守る厚いサポーターの中で、ぼくの陰茎はみるみる熱を帯びていった。

ぼくがして欲しい事なんて、決まってる。ぼくが欲しいのは、ただ一つ。

「い、伊織さん……伊織さんが、欲しい、です……」

ぼくの答えに伊織さんは悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「あらあら、甲ちゃんはせっかちですねぇ。そんな事じゃあ女の子に嫌われますよ?」

「伊織さんは、嫌いになりますか?ぼくの事」

情けない顔と声で問いかけると、伊織さんは嬉々として目を細めぼくの頬を両手で包む。

「甲ちゃんみたいに素直な子、私は大好きですよ」

伊織さんの唇が、ようやくぼくの唇に触れてくれた。温かい舌が口腔に侵入すると艶めかしく動き回り、上顎や歯茎から舌の裏まで丹念に舐めあげられる。

更に顎を上向かせられると、中腰になった伊織さんがニッコリ笑って唾液を注いでくれた。ぼくは悦びに震えながら伊織さんの唾液を受け止め、存分に味わってからゆっくり嚥下する。

「甲ちゃんってば、すっかり変態さんになっちゃいましたねぇ」

口端から零れた唾液を指先で拭い、伊織さんがぼくの股間に手を添えた。

「はうっ」

「ふふふ、サポーターが硬くて痛いんでしょう?かわいそうな甲ちゃん、こんなに興奮して」

「あぐぅっ」

サポーター越しに優しく愛撫され、ビクンビクンとぼくは身体を震わせる。伊織さんはぼくの反応を楽しむように愛撫を続けていたが、ふと顔を上げて彼方へ視線を向けた。

「どうやらお楽しみはオアズケにするしかなさそうですね」

「……へ?」

乱れた着衣を素早く整えた伊織さんは、狩猟笛を担いで自分強化の音色を奏でる。まだ思考が追いつかないぼくの鼓膜に甲高いモンスターの咆哮が轟き、あれだけ盛り上がっていたイチモツが瞬時に竦み上がった。

「テツカブラ!」

真っ赤な皮膚と頑強な牙を備えたテツカブラが、僕達に向かって威嚇咆哮をあげる。慌ててぼくは大剣を引っ付かんで装備し、いつでも抜刀出来るよう臨戦態勢に入った。

「頑張ったら、続きをしてくれますか!」

ぼくの問いかけに伊織さんがニッコリ頷く。ぼくは雄叫びをあげてやる気を漲らせ、テツカブラに向かって真正面から突撃した。



気づくとぼくはネコタクに乗せられていて、そのままベースキャンプに乱暴に転がされる。

「えっ……えっ?」

どうやらやる気が空回りして、力尽きてしまったらしい。伊織さんに合流すべくキャンプを飛び出すと、地図を開いてペイントボールが示すエリアを目指した。

「伊織さーん」

「あら甲ちゃん、ちょうど良かった」

ようやく合流するとテツカブラは既に討伐されており、伊織さんが涼しい顔で素材を剥ぎ取っている。

「ほらほら、早く剥ぎ取らないと消えちゃいますよ」

「あ、はいっ」

伊織さんに促され素材を剥ぎ取り、改めて己の失態を詫びた。

「すみません伊織さん、なんの役にも立てなくて」

しょんぼり落ち込むぼくの頭を、伊織さんが優しく撫でてくれる。

「最初から巧く立ち回れるハンターなんていませんよ。そうやって落ち込んで反省した分、きっと甲ちゃんは強くなれますよ」

「伊織さんっ……」

感動するぼくにニッコリ微笑み、伊織さんが立ち上がって時計を確認した。

「今から組んず解れつする時間はないですねぇ。お楽しみは次回に持ち越しですね」

「あ……す、すみません、ぼくのせいで……」

「ふふふ、そんなに私とエッチしたかったんですか?」

「っっっ」

図星を指され赤面するぼくを見上げ、伊織さんは愉快そうにクスクス笑う。伊織さんの余裕のほんの一握りでも分け与えて欲しいものだとぼくは切に願った。



「こんばんはですニャ、旦ニャ様の相棒様!」

ルームサービスネコに迎えられベルナ村の自宅に帰還すると、伊織さんがアイテムポーチからマタタビの塊を取り出す。

「お土産ですよ、ネコちゃん」

「にゃんと!相棒様は素敵な相棒様ですニャ!」

小躍りして喜ぶルームサービスネコを眺めていると、さり気なく伊織さんが近づいてきて耳元に唇を寄せてきた。

「ネコちゃんがマタタビで酔っ払ってる間に、お楽しみの続きを始めましょうか」

「!!」

あからさまに喜びの表情を浮かべるぼくに、伊織さんもまた喜色の笑みを唇に刻んでそっと五指を絡めてくる。その瞳は淫靡に濡れていて、ぼくの鼓動を跳ね上がらせた。

「私だって、先ほどからずっと、身体が疼いて仕方ないんですからね」

「伊織さん……」

「旦ニャ様ー、マタタビパーティーの前に、お風呂に入って下さいませですニャー」

甘い空気は仕事熱心なルームサービスネコに遮られ、ぼくと伊織さんは顔を見合わせ苦笑いする。二人きりの時間はもう少しオアズケのようだった。